社外取締役座談会
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01
村上 早百合 社外取締役
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02
中務 正裕 社外取締役
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03
角田 昌也 社外取締役(監査等委員)
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04
津田 和義 社外取締役(監査等委員)
経営監督機能が年々強化され、ガバナンスが向上

中務
2016年から当社の社外取締役を務めています。取締役会には経営の意思決定機能と監督機能が求められますが、以前の取締役会は業務執行を担う取締役が多くを占め、意思決定の機能に偏りがちだったと聞いています。そこで監督機能の強化を目的に、私が社外取締役に加わったという経緯があります。弁護士という立場から法的な面で問題がないか、意思決定のプロセスは適切か、例えば、十分なリスク調査等が行われているかといったことを社外取締役として見ています。

村上
2023年6月に社外取締役に就任しました。鉄鋼業界は従来、男性の多い職場ですから、女性活躍については高い関心を持っています。さらに報道機関にいた経験から、外部の視点、社会の視点を意識して意見しています。

角田
基本的に、少数のステークホルダーがどのように考えるかということに留意しています。また、金融機関での経験が長いので、自分の経験、知見から見てリスクがあると思われる点を指摘しています。

津田
当社を含め、上場会社4社の社外役員をしており、公認会計士として財務会計の観点を基本にしています。数字とは人、モノ、金の経営資源の調達、配分、成果の分配を記号化したものですので、経営判断の際の情報共有、意思決定のプロセスが適切か、選択肢の評価、選択のプロセスでは網羅性を満たしているか、バランスが取れているかといった観点で見ています。

中務
取締役会の実効性ということでは、問題が生じた際にはその原因や経緯などがつまびらかに私たちに報告があり、多様な観点で議論ができるようになっています。今後の課題をあえて言うなら、グループ会社を含めたガバナンスの強化です。

村上
長期的なテーマについてざっくばらんに話す機会を設けると良いのではと思います。特に、サステナビリティや人的資本経営に、今後はもう少し時間を割いていきたいです。

角田
取締役会の議論は年々活発になり、資料提供も3営業日前までに行われています。各種委員会も運営をしっかりとされていますから、当社のガバナンスにおいては、懸念材料は特にないと思います。一方で、長期的なテーマがいろいろありますので、非公式でもっとしゃべりましょうという機会があると良いですね。

津田
経営会議やサステナビリティ委員会などの議事録なども都度確認していますが、役員をはじめそれに準ずる立場の方が、管掌分野について役割を果たすというスタンスをしっかりお持ちだという印象です。忖度せずに意見し合っていますし、情報共有と意思決定を大変丁寧に行っている会社だと思います。今後は人材確保が難しくなりますから、グループ全体で社員のモチベーションを高める環境づくりが重要になってくると思います。
監査の質的水準が高まり、さらに取締役会の実効性が向上

角田
監査役として1年、監査等委員として2年、当社を見てきました。現在は取締役会と同日に監査等委員会を必ず設けており、しっかりと時間をとって常勤監査等委員と情報共有し、協議を行っており、以前にも増して議論が深まっています。グループ会社の監査についても、各社の監査担当と役割分担をして機能強化に取り組んでいます。

津田
監査等委員会の大きな役割の一つが取締役の職務執行状況を監査し、バランスの良いガバナンスを目指すことと認識しています。私自身、監査等委員になってから特に社長含め、各役員とのコミュニケーションの機会が増えました。また、2024年7月に内部監査部門が監査室から監査部に昇格し、委員会との連携も強化されたことで、監査の質的水準が高まっていると思います。他の上場会社では、執行や現場の方々が監査を自分ごとと捉えることができず、監査手続きの形骸化が起こるケースがありますが、当社はそのようなことはありません。

中務
監査等委員会から定期的に業務執行上の課題について、法務管理、財務、人事等の全分野にわたって詳細な報告をいただき、これらが取締役会での新しい議題の中心になっています。さらに課題への対応、解決策が現場でどのように進んでいるかの報告もいただき、この2年間で、監査を通して取締役会の実効性が向上していることを感じます。
過去の経験から築かれた企業風土と
ビジネスモデルの優位性

村上
中山製鋼所は、10年ほど前に事業再生を経験している影響かと思いますが、危機に対する感度や対応力が経営層や社員のDNAの中にあるように感じます。

津田
私も同感です。事業再生支援を受けた期間があるからこそ、外部に対する説明責任を果たさなければならないという姿勢がしっかりとベースにあると思います。監査に対して現場の方々が真摯に対応してくれるのもその表れで、過去の経験が非常に良く作用している会社だと思います。

中務
その通りですね。当社は報酬・指名諮問委員会で、社長を含めた各取締役に対する評価を数値化し、極めて精緻に行っています。このように経営層の責任を明確に認識している会社はほかに知りません。100年以上前から大阪のこの地で鉄をつくり続けて築いたお客様からの信頼が最も大事であり、それを今後も守りたいと経営が考えているからだと思います。

角田
さらに、企業風土だけでなく、当社のビジネスモデルにも大いに強みがあると思います。まず、高炉製品をより環境負荷の小さい電気炉製造に置き換えたいという市場のニーズに対し、鉄鋼事業100年の中で高炉や電気炉の様々なノウハウを蓄積した当社には優位性があります。当社が描いている電気炉生産能力倍増の戦略は、今のカーボンニュートラル時代の要請にまさに合致しています。また、中堅規模ながら生産から加工、販売、流通、物流全ての機能をグループで持っていますから、最終的に使っていただくお客様に合わせた売り方ができ、手厚いフォローをしながら丁寧に販売しています。だからこそ、中山ファンがしっかりとついているのだと思います。

中務
「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」は投資を行い、電気炉製品の製造量、販売量を大きく増やす計画が中心であり、その最も重要な課題は資金です。現在の安定した財務体質を維持しながら資金調達するためには、執行部門が計画した販売量をしっかりと確保していくことが前提になります。長期ビジョンが実現すれば、まさに時代の要請に沿った事業展開ができますので、足元をきっちり固めていってもらえるよう社外取締役として見ていきます。

角田
当社を取り巻く経営環境、競合や中国メーカーの動きなどを踏まえた計画づくりも大変重要です。やるべきことはたくさんありますが、優先順位をつけて取り組んでいくことが必要です。

村上
加えて、事業を拡大するには人材の確保、育成が非常に重要になると思います。私は工場見学の際、ものづくり企業の誇りを持つ現場の方に感動しました。グリーンな会社であることや、そういう良さをアピール、情報発信することは人材確保にもつながると思います。

津田
そうですね。人、モノ、金の経営資源の中で、それ自体が成長していくのは人だけです。今回の大きな投資をきっちりやりきるには社員の挑戦と成長が不可欠ですので、私たち社外取締役の立場から、精いっぱいバックアップしていきたいと思っています。