株主・投資家の皆様へ

トップメッセージ

代表取締役社長 箱守 一昭

株主の皆様へ

 平素は、格別のご厚情を賜り、心から厚くお礼申しあげます。
 さて、2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)が終了いたしましたので、当社の事業の概況につきまして、ご報告申しあげます。

2023年6月

株式会社中山製鋼所
代表取締役社長 箱守 一昭

事業の概況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和により、個人消費を中心に緩やかに持ち直してまいりました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による物価上昇や世界的な金融引締めなど、依然として先行き不透明な状況が懸念されます。
 当社グループの主力事業である鉄鋼業界におきましては、製造業向け需要は、産業機械向けは一部で内外需要の回復による増加がみられましたが、自動車向けは半導体など部品の供給制約から年度後半まで減少基調が続きました。建築向け需要は大型案件は堅調でしたが、中小案件は資材価格の高騰の影響等から低迷するなど、総じて鉄鋼需要は弱含みで推移しました。
 このような状況のもと、当社グループは、中期経営計画(2022年度~2024年度)の重点方針に沿って、当社グループが掲げた目標の達成を目指して施策を推進してまいりました。
 「“中山らしさ” の追求、グループ一体での付加価値向上による連結収益最大化」においては、昨年4月1日に完全子会社の中山三星建材株式会社を合併し、母体のホットコイルから加工製品までの一貫メーカーとしての強みを発揮することによりグループ総合力の強化に努めております。また、縞鋼板の加工能力を増強させるため、完全子会社の三泉シヤー株式会社の第2工場を当社構内に建設し、本年4月より本格的に稼働しました。これらによりグループ全体で加工分野を強化し付加価値の高い加工品の拡販を図ります。
 「カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向けた取り組み強化」においては、電気炉生産量の増加や各工場でのコスト・品質の改善などに注力するとともに、「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」のもとで特定されたマテリアリティとその推進方針に従い、サステナビリティへの取り組みを一層強化してまいりました。

〔鉄鋼事業〕
 鉄鋼事業につきましては、鋼材販売数量の減少、資材価格の上昇および円安の進行に伴いスクラップ・鋼片などの主原料価格や電力・ガスなどのエネルギー価格が高騰したことにより製造コストが増加しましたが、鋼材販売価格の改善により鋼材スプレッドが拡大しましたので、前期比で増収増益となりました。これらの結果、前連結会計年度に比べ売上高は、213億95百万円増収の1,855億42百万円、経常利益は、61億30百万円増益の129億79百万円となりました。

〔エンジニアリング事業・不動産事業〕
 エンジニアリング事業につきましては、海洋部門および鋳機部門の受注が増加しましたが、資材価格の高騰が響き増収ながら減益となり、前連結会計年度に比べ売上高は、1億29百万円増収の19億7百万円、経常利益は56百万円減益の2百万円となりました。
 不動産事業につきましては、賃貸収入を中心に安定した収益を確保し、売上高は前連結会計年度に比べ、2億87百万円増収の10億64百万円、経常利益は1億96百万円増益の6億97百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は、218億13百万円増収の1,885億14百万円、営業利益は63億94百万円増益の136億44百万円、経常利益は67億16百万円増益の133億71百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は54億11百万円増益の102億27百万円となりました。
 当事業年度の単独決算につきましては、売上高は、前事業年度に比べ245億79百万円増収の1,496億77百万円となり、営業利益は98億93百万円増益の121億26百万円、経常利益は92億99百万円増益の119億46百万円、当期純利益は231億77百万円増益の255億7百万円となりました。

今後の見通し

 今後のわが国経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和により経済・社会活動が正常化に向かう一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、ゼロコロナ解除後の中国の動向や各国の金融引締めに伴う世界経済の減速懸念など先行き不透明な状況が続くことが想定されます。
 当社グループを取り巻く環境につきましては、国内鋼材需要は緩やかな国内経済の回復のもとで、自動車生産や民間設備投資の増加、倉庫・物流施設などの非住宅分野の堅調ぶりなど、製造業向け、建築向けともに底堅く推移することが期待されます。一方で、原材料価格やエネルギー価格は高位で推移するなどコスト環境は厳しい状況が続くことが見通されます。
 このような状況のもと、当社グループは中期経営計画(2022年度~2024年度)の重点施策を着実に実行し、グループ一体での付加価値向上による連結収益拡大を図ります。また、安定操業のもとで電気炉の増産に努め加工分野への取り組みを一層強化します。カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向けて、電気炉メーカーである強み・優位性を活かした成長戦略として、「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」に基づき電気炉生産能力増強の検討を進めるとともに、高付加価値製品の拡販などに取り組んでまいります。

 株主の皆様におかれましては、以上の諸事象をご賢察のうえ、今後ともなにとぞご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。