価値創造事例
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カーボンニュートラル実現に向けて尽力する企業として
2030年に向けた長期シナリオ策定
カーボンニュートラル社会の実現に向け、鉄鋼メーカーにもサプライチェーン全体での温室効果ガス削減が要求されています。また、建設業界では大手ゼネコンが電気炉材を積極的に調達する方針を公表するなど、今後は電気炉材の需要が高まることが予測されます。
中山製鋼所グループは、電気炉メーカーである優位性を活かし、自家電気炉の生産を2倍以上に増強する成長戦略を描いています。さらに加工工程の強化、増強などによって電気炉材の市場への提供を大幅に拡大し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献したいと考えています。

カーボンニュートラルと収益力向上を同時に実現
当社グループは、2030年までにCO2排出量2013年度比46%削減、2050年カーボンニュートラルを掲げ、削減活動を推進してきました。CO2排出量全体の約8割がScope3となっており、これは他社から調達している鉄材の製造過程で発生するCO2です。「中山製鋼所グループ長期ビジョン2030」の実現に向けた中期経営計画の重点課題の一つ「新電気炉による生産能力の増強」により、他社からの鉄材調達が不要になり、Scope3のCO2排出量と調達コストをともに大幅に下げることができます。

- ※当社における温室効果ガスは、CO2がほぼ全量であり、その他のガスは極めて少量であることからCO2に絞り算定しました。
- ※CO2排出量は当社・全工場、エンジニアリング事業、およびグループ会社5社におけるScope1、2とScope3を示しています(2023年度からグループ会社を追加)。
- ※CO2排出量算定にあたり電力会社からの供給電力は調整後係数を適用、排出原単位は「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベースver.3.4」を適用しました。
新電気炉による生産能力増強の検討状況
2022年2月から電気炉工場の新設を含めた抜本的な生産能力増強について検討を進めてきました。2023年度までの進捗は、新工場予定地(旧高炉・コークス跡地)の更地化を終え、2024年1月には大阪市へ環境アセスメントの申請を行い、当事業が環境にどのような影響を及ぼすのか、調査・予測・評価する段階に至っています。2025年度からスタートする次期中期経営計画で概要を明らかにできるよう、着々と準備を進めています。
事業の名称、目的及び処理能力
大阪市提出:令和6年1月25日
名称 |
(仮称)中山製鋼所船町工場新製鋼施設建設事業 |
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目的 |
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電気炉処理能力 | 現状 | 将来 |
100t/時 | 215t/時 |
電気炉生産能力増強による想定メリット
電気炉工場の新設に伴い、工場レイアウトの最適化と自動化技術を導入することで省人化と構内物流の整流化を図ります。コスト面、品質面の向上はもちろん、カーボンニュートラル、循環型社会への貢献で、真に環境に優しい都市型製鉄所を目指していきます。
- 外部鋼片から競争力のある自社電気炉材へのシフト
- 電気炉のスケールアップによる生産能力増強と省エネ化
- 中下級スクラップの安定調達と使用拡大によるコストダウン
- 半製品の在庫削減および製品の納期短縮
- 電気炉鋼片の直送圧延によるエネルギーロス減少

TOPICS
電気炉による高付加価値鋼材を開発
電気炉材の需要拡大と当社の生産能力増強を見越し、より顧客ニーズに対応した高付加価値鋼材の開発に取り組んでいます。高級化に対応した製造技術の開発、スクラップ利用技術向上などのさまざまな技術課題にチャレンジし、高耐食化、長寿命化を実現した新しい電気炉材の提供を目指しています。
- 高耐食性めっき電炉鋼板開発や高度解析術の応用
- 溶融めっきシミュレータを導入、高耐食性めっき電炉鋼板の開発を本格化。
併せて高度分析装置を用いた解析技術の応用によるメカニズムの検討・解明にも注力。





お客様に中山製鋼所グループを選んでいただき、
喜んでいただける企業として
きめ細かなニーズに対応できる中山のグループ総合力

中山製鋼所グループは、広大な鋼材消費地である大阪の中心部で荷役に優位な湾岸に位置する電気炉メーカーを母体に、高度な製鋼、圧延、成型、加工技術とノウハウに加え、鋼材生産・加工・販売・物流の一連の機能を保有していることにより、お客様のニーズに直結した生産が可能になるという強みを持っています。また、販売面においても鋼材製品、成形品、加工品、鋼材関連製品の販売網を全国に展開し、きめ細かな営業スタイルを基本としています。
「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」では電気炉生産能力の増強によるグループ収益の最大化を目指し、グループ独自の技術により電気炉材の特性を最大限に活かした製品ポートフォリオの改革に取り組んでいます。100年以上続いてきた老舗鉄鋼メーカーとして、今後もお客様のニーズに合った他社には真似できない製品とサービスを提供し、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
製品ポートフォリオから見た製品戦略


建材事業におけるグループシナジーの拡大
当社グループは建材事業の加工強化戦略の実行をより一層加速させるため、2022年4月にグループ会社の中山三星建材を合併し、高効率な経営体制を確立しました。2023年度は、S造(鉄骨造)需要における建材製品の業績は中小建築物件(2,000㎡未満)の需要低迷で販売量は減少となったものの、S造需要全体に占めるシェアは前年の水準を維持、中小建築物件に占めるシェアは上昇しました。電気炉材のさらなる活用により、コスト低減や在庫削減を図るとともに、高機能材への電気炉材の適用を推進し、グループ一丸となって収益の強化に努めています。

- ( )は建材出荷量÷S造需要2,000㎡未満
- S造:建築着工面積×100kg 出所:国土交通省
三泉シヤー第2工場建設による高付加価値製品の拡販
中山製鋼所構内に建設した三泉シヤーの第2工場が、2023年4月より営業生産を開始しました。これにより縞鋼板の切断や2次加工能力が増強され、販売数量の増加と付加価値の高い加工品比率を従来の17~20%から35%以上とすることが可能となりお客様のニーズに応える加工品のバリエーションが増え、高品質かつスピーディーに提供できるようになりました。また、2024年度中には、既存100トンプレスの増強更新と第2工場近接地に新本社事務所の建設を予定しています。これらにより、製造部門と営業部門、グループ各社が一体となり、さらなる効率化と能率改善、品質向上を実現していきます。

TOPICS
三星商事の自社EC (電子商取引) サイト本格運用
グループ会社の三星商事は、2023年7月からプロ向けの建築資材販売ECサイト「PRO資材便」の本格運用を開始しました。2023年度は東日本全域に展開し、2024年度には全国展開を予定しています。現状はパイプ、線材製品、ブルーシートなどの土木資材、足場関連資材をはじめ約1,000アイテムを取り扱っていますが、将来的には5,000アイテムを目指し、さらなる拡販に取り組んでいます。
当社グループの製品取扱量については2023年度上期実績で約35千トンとなっていますが、中大型商材の現場配送に対応できるユニック車(移動式クレーン車)を各営業所に導入するなど、取扱量のさらなる拡大を目指しています。


従業員のモチベーションをアップさせ、
家族の幸せを追求する企業として
人的資本経営に向けた具体的な取り組みを開始
当社グループが目指す「中山製鋼所グループ2030長期ビジョン」の実現には、従業員の高いモチベーションと働きやすさが重要になります。第3次中期経営計画においても、経営戦略との連動やあるべき姿とのギャップを埋めるため、人的資本経営に向けたロードマップを策定し、具体的な取り組みを始めています。多様な人材がいきいきと活躍でき、従業員と会社がともに成長できる、安全で安心な職場づくりを実現していきます。

新人事評価制度の構築
2022年4月の中山三星建材との合併により、各種制度を統合する必要があり、これを機に新たな人事評価制度の構築に着手しました。従来の人事評価制度の課題を多面的に洗い出し、当社が持続的に成長していくための、人材育成をより重視した新たな制度を構築しました。新人事評価制度を全社に周知し、着実に運用していくことで、従業員のさらなる成長と企業の発展につなげていきたいと考えています。

CASE
取り組み事例
多様な人材が活躍できる職場環境づくり
- 本社事務管理センターにレストスペースを新設
- 2024年3月、本社事務管理センター5階のフリースペースを、従業員のレストスペースとしてリニューアルしました。テーブルや椅子を入れ替え、飲料や食料品の自動販売機等を設置しており、従業員の休息、従業員同士や取引先の方とのコミュニケーションの場として、大変好評を得ています。


- 船町工場内にコンビニエンスストアを開店
- 2024年3月、船町工場構内の旧浴場跡にコンビニエンスストアを開店しました。ゆったりと飲食や休憩をとることができるよう、店内にはイートインスペースも設置しています。従業員からは「通勤前にコンビニへ寄らずに済むので楽」「コンビニコーヒーが飲めるのはうれしい」「取引先の方や協力会社の方にも使ってもらえる」といった喜びの声が上がっています。


- 採用パンフレットの新規制作
- 人材確保の競争が激化する中、成長戦略を牽引する強みや個性を持った人材の獲得を目指し、採用活動を強化しています。まず、採用パンフレットの新規制作に取り組み、会社概要や鉄鋼業の魅力についてイラストを多用して解説するページや、活躍している若手社員のインタビュー、1DAYスケジュール等を取り入れ、当社を身近に感じていただけるようコンテンツに工夫を凝らしました。本パンフレットは企業説明会の参加者に配布しています。


