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代表取締役社長 箱守 一昭

100年先も躍動し続ける中山製鋼所グループを目指して

代表取締役社長

箱守 一昭

当社は2019年に創業100周年を迎えました。
創業以来、鉄を中心とした商品やサービスの提供を通して社会に貢献してまいりましたが、さらに100年先も躍動し続けるグループを目指し、グループ経営理念やグループビジョンに基づき、2030年をターゲットとする長期ビジョンを策定しました。また、その実現に向けて新たに2024年度を最終年度とする3ヶ年の第3次中期経営計画も策定しました。

2022年度の振り返り

2022年度は現中期経営計画(3ヵ年)の初年度でした。連結経常利益は134億円となり、最終年度目標の100億円を初年度から達成することができました。これは、過去3番目の高収益です。
販売数量はロシア・ウクライナ問題や上期での中国のロックダウン影響等で、自動車を中心とする製造業・建築中小物件の不振等により伸び悩んだものの、主原料価格、燃料・電力単価など諸コストアップ分の販売価格への転嫁、鉄源面では特に海外需要の停滞等からスクラップ価格が計画を大きく下回ったこと等からスプレッドが拡大し諸コストアップ要因を打ち消せたこと、また、グループ会社のスプレッド拡大や外部貨物の獲得努力等による収益改善効果もあり、中期経営計画初年度での目標達成に繋がりました。

中長期ビジョン・現中期経営計画の取り組み進捗について

電気炉生産能力の増強

当社グループは2002年までは高炉・転炉プロセスで中厚板・薄板・表面処理コイル・棒線製品等の鋼材、所謂高炉品種を生産していました。その後高炉鋼は他社からの供給に依存しつつ、電気炉プロセス主体に生産体制を移行し、高転炉鋼と電気炉鋼両方の特長を活かし電気炉鋼にて中高級鋼製品の製造ノウハウを育みました(微細粒熱延鋼板・表面処理コイル等の自動車・建産機向け用途など)。
当社グループの中長期ビジョンでは、電気炉生産能力の増強が大きなテーマのひとつです。地球温暖化防止のための世界的なカーボンニュートラルの潮流には底堅さと力強さがあり、高炉の約1/4のCO2発生量である我々電気炉メーカーはそのアドバンテージを最大限活かし、ステークホルダーの皆様のニーズにお応えすべく、今後様々な対応を行っていきたいと考えています。
電気炉生産能力の増強についてはハード面の検討はもとより、省エネや各種原単位低減といったコスト削減効果が最大限引き出せる設備仕様を検討しているところですが、昨今の資材価格高騰や人手不足等の影響もあり建設費の増加が懸念されます。引き続き慎重に検討を進め、当社の粗鋼バランスの改善に取り組みます。

加工ビジネス強化

2022年度に当社と一体化した建材事業を筆頭にグループ全体で加工ビジネスへの取り組みを一段と加速させ、当社グループのシナジーを拡大させるとともに、サプライチェーンの拡大により高付加価値製品の拡販に努めるなど、その実現を通じて当社グループの総合力強化を進めています。
建材事業では電気炉鋼を母材とし、付加価値の高い軽量形鋼・電縫鋼管製品の供給に努めるとともに、お客様のニーズに応え、生産現場への直納や加工ニーズへの対応など、当社グループ全体でその動きをバックアップ、収益力の源泉を維持・深化・拡大させています。また縞鋼板の加工能力増強のため、完全子会社の三泉シヤー株式会社の第2工場を当社構内に建設、全設備を第1工場から移設のうえ新たにレーザー切断機を導入し、当社厚板(NP)製品の定尺切断を含め2023年4月に営業生産を開始しています。2024年度には新事務所も当社構内に新設し、更なるお客様ニーズにお応えするべく当社グループとの連携をよりスピードアップさせることで、加工品の比率アップ・リードタイムの短縮に取り組みます。

サプライチェーンの強化と製品開発

電気炉プロセスは、環境に優しくカーボンニュートラルの潮流に見合う製鉄プロセスであるため、今後ますます世界的に生産量が増加し、お客様の電気炉鋼材に対するニーズ・需要が高まっていくものと考えています。日本で鋼板を製造している電気炉メーカーは3社のみであり、特に当社は高転炉鋼主体であった鋼板製品を製造している電気炉メーカーとして長年培った製造ノウハウを有しています。今後当社に対するお客様からのニーズはますます高まっていくものと思われ、実際に徐々にお客様からのお問い合わせや当社に対する期待の声が増えてきています。
当社熱延工場で製造される微細粒熱延鋼板(NFG:Nakayama Fine Grain)の熱延細粒化技術は、種々の高付加価値製品の製造に活用でき、電気炉鋼の用途拡大に寄与できると確信しています。
また、当社船町工場は大消費地大阪に位置し、当社占有の岸壁・荷役設備を持ち、高炉・転炉プロセスでの生産当時からお付き合いのあるお客様が関西をはじめ全国各地に居られます。加えて当社グループでは、生産・加工・販売・物流といった一連の機能を保有しているというアドバンテージもあります。
このような当社グループの特長を最大限に活用しカーボンニュートラルの潮流を的確に捉え、特に電気炉製品の普及拡大に努め、循環型社会の実現に貢献していきたいと思います。
2022年度から発足させた製品開発本部では、前述のような電気炉鋼ニーズを迅速かつ的確に捉え、お客様ニーズの吸い上げと新たな製品・機能のご提案を強力に推進しており、大学との共同研究にも取り組んでいます。

カーボンニュートラル・循環型社会への取り組み

当社グループでは2022年度に取締役会の傘下にサステナビリティ委員会を設置し、4つの委員会を中心にサステナビリティへの取り組みを強化してきました。
まずは2022年10月にTCFDの提言に賛同のうえ「Nakayama CSR Report2022」において、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標を明確にしました。CO2の排出量削減目標は、2050年のカーボンニュートラルに向け、2030年度では2013年度比▲46%としています。
また、経済産業省主導のGXリーグにも参画しており、カーボンニュートラルに向けた業界全体および鉄鋼業界での取り組み状況を的確に把握し適切に対応していきます。

人的資本経営の強化

当社グループでは2030年の「ありたい姿・目指す企業像」の実現に向けて、女性活躍を含めた人材のダイバーシティの推進、人材育成を強化するとともに、ワークライフバランスの充実を図るべく、働き方の多様化にも取り組んでいます。
人材育成においては急激に変化する外部環境を的確に捉え、次の時代を見据えた抜本的な変革を実現するため、2024年度からは新人事評価制度を導入し、年齢・性別を問わず、社員一人ひとりが活躍する事で「変化への迅速な対応が取れる人材」、「相互を尊重しチームで課題解決が出来る人材」、「自由闊達な議論を率先出来る人材」へ成長できる場を提供したいと考えています。
また、多様性の確保の面ではワークライフバランスの充実を図るべく働き方の多様化にも対応し、福利厚生施設の整備なども行っています。2024年度からは65歳定年制へ移行する予定であり、シニア人材の活用など多様な人材が活躍できる制度の充実を図り、これからも従業員が安全で安心して働ける環境づくりと人的資本経営を推進します。

おわりに

世界的なカーボンニュートラル社会への潮流は当社にとって大きなビジネスチャンスだと考えています。このチャンスをしっかりと捉え成長戦略を実現するとともに、企業としての社会的責任を果たすためにガバナンスおよび経営基盤の強化を図り、企業価値の向上に努めます。そのうえで社会・お客様・地域・株主・従業員などあらゆるステークホルダーの皆様の信頼にお応えしつつ、一層の成長を図ってまいりますので、引き続きご支援、ご助力を賜りますよう、お願い申し上げます。