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世界初の微細粒熱延鋼板を開発、生産・販売を本格展開 2001年11月1日

1.概 要
株式会社中山製鋼所では、昨年新設した熱延工場において、熱延鋼板の材質特性を飛躍的に向上させる方法として、結晶粒径を従来材に比し1/3以下にする技術開発に取り組んでまいりました。 その結果、結晶粒径が2〜5μmの極めて性能の優れた熱延鋼板の開発に成功し、今回、引張り強さ500〜600MPa級のものを商品名"NFG"( Nakayama Fine Grain )として、本年12月より生産・販売を開始することにいたしました。

この鋼板は、結晶粒径が極めて微細であることにより、高強度、高靭性、加工性にも優れ、また溶接性も良く、そのうえ高い疲労特性も備えるという特長を有しております。

結晶粒径を微細化することによって、鋼材の特性を高めることは、すでに金属関係研究者の間で確認されておりましたが、これを工業的に製造可能にしたのは、当社が世界で初めてであり、この面で研究関係者および業界での注目を浴びております。

今後、"NFG"は需要家の皆様の鋼板使用分野で、高強度化、製品の軽量化、製造工程の簡略・省略化等に大いにお役に立ち、環境に優しい材料として受け入れていただけるものと確信いたしております。

"NFG"はすでに、お客様数社にサンプル品として出荷し評価をいただいておりますし、また一部のお客様からはお引き合いをいただいております。

2.いかにして造るのか
当社が開発した微細粒熱延鋼板は、独自技術による高圧下圧延と強冷却を連続的に繰り返すことで製造いたし ます。

具体的には、連続仕上圧延機6台のうち後段3台の圧延機で圧下率50%を超える大圧下を行うと同時に、圧延機間に設置されたカーテンウォール冷却装置で強冷却(温度低下率40℃/秒)を行います。


3.これまでの経緯
微細粒熱延鋼板を生産する当社の熱延工場は、2000年1月ホットラン開始後順調に立ち上がり、同年8月から営業運転に入っております。

この熱延工場は、1996年建設計画の当初から、川崎重工業株式会社殿と共同で高性能・コンパクトミルを目指すとともに、微細粒熱延鋼板の製造が可能な冶金学的配慮を随所に盛り込んでおりました。

本年1月より本格的に微細粒熱延鋼板の開発に着手し、10月までに第一段階として引張り強さ500〜600MPa級の開発を完了、現在、800MPa級以上のものに取り組んでおります。

開発に当たっては、 産学共同研究として
・東京大学 生産技術研究所と "細粒鋼の内部組織予測モデルの研究"
・大阪大学 大学院工学研究科と"細粒鋼の溶接技術の研究" を行ってまいりました。

また、こうした開発・研究を通じて只今までに
・成立した特許4件(うち海外特許1件)
・申請中の特許9件(うち海外案件8件) を数えております。

以上

《ご参考》

【当社微細粒熱延鋼板の特長ある性能】

1. 引張り強さ 引張り強さは結晶粒径のマイナス1/2乗に比例して高くなる。当社微細粒熱延鋼板の現在粒径は2〜5μm(従来鋼材は10〜15μm)。この間で粒径を調整することで従来鋼材の最大1.5〜1.6倍の強度を得ることができる。

2. 低温靱性 従来の鋼材に比べ、結晶粒微細化の効果は大きく、圧延のままで低温靱性に優れ、寒冷地仕様鋼材として使用できる。

3. 強度延性バランス 従来鋼材は高強度と伸び延性のバランスをとるのに、合金元素の添加によることが多い。当社微細粒熱延鋼板は単純な成分系のものが主で、強度×延性値で18,000前後を示す。

4. その他 スケールの密着性が良く、フォーミング、プレス加工時のトラブルが少なく、また酸洗によるスケール除去時間を短くすることができる。

【微細粒熱延鋼板製造にかかわる当社独自の主要開発技術】

1. 片駆動異径ロール圧延機 仕上圧延機後段の3台のスタンドについて、 通常、上・下ロール(同径ロール)を駆動し圧延するが、当社の方式では片側をロール駆動し、しかも上・下ロール径を違えている。

2. カーテンウォール冷却装置 仕上圧延機後段の3台のスタンドの出側に取り付けられた圧延材を冷却するための装置で、この冷却装置から出てくる水は、水厚24mm以上。あたかも水の壁のような状態(層流状態)になる。これにより高い冷却能力が達成できる。

3. 高性能低慣性油圧ルーパ装置 圧延機の間にある装置で圧延材の張力を一定にさせる機能を受け持つ。この特長は、油圧であるために圧延中に圧延材に対し素早く応答し、絶えず張力を一定にコントロールできる。

4. クラウン制御を行う CVCロールシステム CVC は、独・シュレーマン社の技術で、クラウン量を少なくする。クラウンとは、製品横断面の板エッジ部とセンター部との板厚差をいい、これが小さいことが望ましい。

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